<風船の徘徊 4> テニス界に吹いた爽やかな一陣の風(大坂なおみ)  

全米オープンでセリーナ・ウィリアムズに圧勝して初優勝を飾った「大坂なおみ選手」の強烈な「弾丸サーブ」「弾丸ショット」「試合運びの上手さ」は目を見張るばかりで、TVやネット上で何回視ても面白かった。

しかし、私にはそれにも増して面白かったのは優勝インタービューだった。
涙を浮かべながらあどけない表情で語られたその言葉は、熱狂的なセリーナ・ファンの胸にも静かに浸み入ったに違いない。

彼女はみずから「史上最悪の優勝インタビューになった」と詫びたが、多くの人にとっては「史上最高のインタビュー」として心に刻まれ、記憶に残るものとなったに違いない。

彼女はあの輝ける日の素晴らしい「プレー」と子どものような「笑みと涙の優勝インタビュー」によって、一躍 文字通り、全世界テニス・ファンのアイドルとなり、「女王」の座(と呼ぶには、あまりにもあどけないから「王女」の席といおうか) に着くことになった。

しかし彼女の優勝物語の面白さは以上の話題に尽きない。

もうひとつのサプライジングな心温まるいい話が、優勝物語が付け加わる。
彼女の新しいコーチ、サーシャ・バイン氏の話だ。

波乱に満ちた優勝戦だったにもかかわらず、終わってみれば、全てが心温まり、静かな安らかな雰囲気に包まれた要因は、TVで解説者によって語られ、かつ誰もが映像を視て直接感じ取った、新コーチの「テニス」と「テニスプレヤー」を<見る目のたしかさ>と<優しさ>だった。

既に多くが語られているので、ここでは具体的にその内容を繰り返さない。

ただ一言だけどうしても追加しておきたいのは (「プレヤー」がコーチを理解する以上に)
< プレヤーは「コーチ」によって深く理解されねばならない> (その逆ではない)
ということ、そのひと言だ。
( 「子は 母に」・「患者は 医師に」・「生徒は 先生に」 理解されねばならない。でなければ上手く<成長しない>・<治らない>・<才能を伸ばせない>のだ。)

同コーチは大坂なおみの指導にあたって、彼女に対し深い「理解と優しさ」で接している。
彼は彼女の性格と才能を(本人が自分を知る以上に)深く理解するよう努めている。
彼は大坂を理解して潜在する才能が開花するよう指導する。

<今回の大坂なおみの偉業達成の物語は、
「指導の在り方ということが隠れた勝因の1要素となっていた」
という大切な事実を、さりげなく明らかにした。>

誰もが気付いたように、ここには
望ましい「人間の連帯(人間関係)の形成・信頼」全体に広く通ずるもの(=共通する要素)が含まれているのだ。
テニス界(スポーツ界)に爽やかな一陣の風が吹いた。  

世界最高の位置にある「偉大なテニス・プレヤー」 セリーナ・ウィリアムズとの手に汗を握る「熱い激闘物語」のうちに、「さわやかな風」を感知したのは、私だけではなかった筈である。
<2018.10.07 記 >



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