2004年8月12日

「ドルサイナ2」

 前回のをアップしてすぐに、遥かスペインの地よりF君 からタイトルの校正が届いた。「ダルサイナとちゃいまっせー、ドルサイナでお ます」ということで、タイトルは変更。けど前回のは戒めのためにそのままにし ておきます(本当は訂正が面倒だし、実はアップの日付も一日ずれている。あい かわらずええかげんな私)F君と昼飯を食べにいったところまでで前回中断してい たが、今回は続き。
 通称「TのT」でのささやかなランチは餃子定食。美味しくいただきつつ、F君 はドルサイナについて熱く語ってくれた。
 「ドルサイナ」について私から聞きかじりで、ざっと説明させていただく。こ の聞き慣れないものは2枚リード付き木管楽器。元々はアラビア発祥、十字軍の ころからスペインに渡ってきたもので、後々シルクロードを通って「チャルメ ラ」に発展?したらしい。もちろんインスタントラーメンの「明星チャルメラ」 ではない。屋台のラーメン屋が吹く楽器だ。ドレミーレド、ドレミレドレー、と いうあの哀愁を帯びたメロディーが、小腹の減ったところに訴えて来るやつだ。 ああ、ラーメンが食べたくなってきた。いかんいかん。話をドルサイナに戻す。 日本ではほとんど知られてはいないが、スペインでは立派な民族楽器でお祭りな どでは必ず演奏されるらしい。F君は元々ギタリストであったが、ひょんな事か らこの楽器に染まってしまい、伝統楽器ゆえ、地方のイデオロギーさえ関係して 来るほどのものを、艱難辛苦の道を乗り越え、今や門下生を70人(当然スペイン 人)をもつ日本人初のドルサイナ奏者が誕生した。パチパチ。
 F君はどうしてもこの楽器の音色をを私に聴かせたいらしいが、とてつもな く、音がでかいということなので、うろうろと歩いて公園まで出かけた。真夏の 昼下がりの公園は人影もまばら、此処ならよろしかろうという事で、ソロコン サートの開演。小一時間の間に、たてつづけに何曲か演奏してくれたが、観客は 私一人と云う贅沢なもの?だった。通りすがりの人たちは「何じゃいな、あれ は?」てな感じで、見てゆくだけ。F君はプロなので当然上手なのだが、いかんせ ん馴染みのない楽器なので注目度はゼロ。私はしばらく彼の演奏中の写真を撮 り、コーヒーでも飲みにいこうかと誘った。
 喫茶店への道すがら彼はこういった。「仲間内の日本人はこの楽器ドルサイナ やなしに、うるさいなって云うんですわ。」
 確かに音はでかかったが、久しぶりに聴いた「アラビアのロレンスのメイン テーマ」は今も耳に残っている。

写真はドルサイナを演奏するF君。